内科担当のM先生からガンを告知された後、ネットで調べてすい臓ガンの恐ろしさを知った。
ガンの中でも突出して死亡率が高い事も、根治しにくい事も余命の短さも理解した。
それでも、私の気持ちは不思議なくらいに落ち着いていた。

年齢を重ねる毎に私には漠然とした不安があった。

健康な状態でいつまで生き続けることができるのか?
将来、認知症や病気になったときどうなるのか?
仕事がほぼ無い今の状況で、この先やっていけるのか?
そして何より高齢の両親を私は支えて行けるのか?

ガンを告知された時、この不安すべてから解放されたのだ。
そして先が分からない未来の為に続けていた節約生活も止めた。

今は食べたい物を食べ、これからやりたい事や行きたい場所を考えている。
そしてそれがとても楽しい。
皮肉な事に、そう思えるのはすい臓ガンである事が分かったからだ。
唯一悲しい事は老いた両親や姉、数少ない親しい友人達の事。
それでもかつての漠然とした不安な日々を考えると今の状況は悪いとは言えない。
そんな期限付きの命だが、人によっては何の前触れもなく突然、奪われてしまう命がある。
沢山の夢や希望、将来があるはずだった人々の命が、だ。
そして亡くなられた方々の家族・友人達もその不条理な死に対してどんなに悲しく辛い事だろう。

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もちろんその他に病気と闘い苦しんでいる人たちは沢山いる。
けれど私に限って言えば、期限付きの命も悪くないと思っている。


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