明日からまた3日間の抗がん剤治療が始まる。
その前にと、今日は都内にある桜を見に出かけた。
毎年毎年、桜が咲き始めると決まって思い出す事がある。
それは約20年前の話。
その頃の私は朝は1時間前に出社し、夜は10~11時頃に帰宅する日々だった。
いつも以上に仕事に追われていた桜の時期のある日、時計の針は日付けが変わる12時を回ろうとしていた。
疲れ切っていたけれど、ふと満開の桜を見たくなり帰る前に桜の名所、増上寺の脇道に寄って帰ることにした。

東京タワーと桜を一緒に見る事ができるこのエリアは、いつもは人でごった返しているが、さすがに真夜中になると歩いている人はほとんどいなかった。
神々しく光る東京タワーと散りゆく桜。
疲弊していた心が少しずつ溶けていくような、それでいて寂しさが沸き上がる不思議な感覚を味わっていた。
すると、私の近くで一台のバンが止まった。
何気なくその様子を見ていると、バンから出てきたのは上は50代前後、下は中学生位の6~7人の家族もしくは親族と思われる人達。
彼らはご高齢の女性が横たわるストレッチャーを囲んでいた。そしてストレッチャーを押しながら桜の道を歩きだした。
いったいどれだけの徳を積んだら、このご高齢の女性のような人生を送れるのだろうか?
結婚とは無縁の生活をしていた私には決して手に入れる事ができない人生を彼女は歩み、その結果を今、享受しているのだ。
桜は美しい、けれどどこか切ない。
会社を辞めてフリーで仕事をするようになってから毎年毎年、私は桜を見に出かける。
出かける度に、ストレッチャーに横たわっていたご高齢の女性を思い出す。
そして、私はいつまで桜を見る事ができるのだろうか、と思うのだ。
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毎年毎年、桜が咲き始めると決まって思い出す事がある。
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いつも以上に仕事に追われていた桜の時期のある日、時計の針は日付けが変わる12時を回ろうとしていた。
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神々しく光る東京タワーと散りゆく桜。
疲弊していた心が少しずつ溶けていくような、それでいて寂しさが沸き上がる不思議な感覚を味わっていた。
すると、私の近くで一台のバンが止まった。
何気なくその様子を見ていると、バンから出てきたのは上は50代前後、下は中学生位の6~7人の家族もしくは親族と思われる人達。
彼らはご高齢の女性が横たわるストレッチャーを囲んでいた。そしてストレッチャーを押しながら桜の道を歩きだした。
いったいどれだけの徳を積んだら、このご高齢の女性のような人生を送れるのだろうか?
結婚とは無縁の生活をしていた私には決して手に入れる事ができない人生を彼女は歩み、その結果を今、享受しているのだ。
桜は美しい、けれどどこか切ない。
会社を辞めてフリーで仕事をするようになってから毎年毎年、私は桜を見に出かける。
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